生命のかけら

 今年になってから入手した201系の「遺品」が、H6編成氏のご協力により、再び息を吹き返した。
 その「遺品」とは、廃車・解体された中央線201系の側面方向幕。おそらく、T104(旧H4)編成のものと推測される。

 電車という「生き物」の一部で、実際に手元に置いて動かすことのできるものは少ない。私もこの機械を買ってきてはみたものの動かし方がわからず途方に暮れていたが(まさに♪段ボールの中、ヒキコモリっきり)、H6編成氏のご指導・ご協力により、ようやく蛍光灯が点灯しモーターで幕が回転する状態になった。
 動いた瞬間は、ただただ感激するばかり。もう何年も前から、駅で電車の方向幕が動くのを見るのが好きだった。別に201系に限ったことではないが、種別・行先の豊富な中央線201系は格別。いつも、飽きもせずずっと眺めていた。側面とはいっても、201系の豊かな表情を形づくる重要な部位であることは確かだ。

 旧H4編成は廃車されてしまったが、その一部分が私の部屋で生きている。そして、その編成札だけは旧H13編成に引き継がれ、この瞬間も乗客を満載して中央線を走っているのだ。そう思うと、感慨もひとしおである。
 まったく技術的な知識のない私にいろいろ教えていただいたうえに、お願いした作業を迅速に引き受けてくれたばかりか、丁寧な説明書まで付けてくださったH6編成氏には、この場を借りて改めて厚く御礼申し上げたい。