懐かしくて新しい

 中央線のオレンジ色の電車が、2本並んだ。「さよなら運転」と通常の営業運転である。

 三鷹ではもう二度と、201系の並びを見ることなどできないと思っていた。それがこのような形で見られて、感無量だ。朝から中央線のダイヤが乱れてどうなることかと思ったが、結果的にはほぼ当初の予想通りに並びを目にすることができた。

 笹子へと発車していく201系H4編成を見送ってからは特急「かいじ」に飛び乗って大月へ。さよなら運転の始発駅であり、特急停車駅でもある三鷹の地の利を生かした作戦で一気に先回り、大月では標高634メートルの岩殿山に登る。東小金井で追い抜いたのに、山頂に着くとH4はひと駅手前、猿橋を通過しようとしていた。

 ここからの眺望は通常の営業運転で201系が大月まで来たときにもご紹介した。今回は201系がその先の区間にまで足を延ばす。それを俯瞰してみようと思ったところ、その方角には富士山もうっすら見えた。

 列車は笹子でツアー客を降ろし、塩山まで回送される。復路は勝沼ぶどう郷付近の盆地を見下ろす有名撮影地に行ってみた。

 帰ってくるともう夕暮れ時。H7編成のほうは日が暮れてからも、普段通りのお勤めを続けていた。

 とにかく、一日でも長く走ってほしい。「風前のともしび」が暗闇の中に見えたとき、ほっとするのは私だけではないだろう。