世界はなんのために

 中央線で最後に残された201系H7編成も、ついに「さよなら運転」が始まってしまった。今回私は、またしても車で追いかけた。深夜まで仕事のあと寝不足のまま、12時間にわたって車の運転と写真撮影を交互に繰り返すのは決して楽ではないのだけれど、これがたまらなく楽しい。

 さよなら運転の出発地は三鷹である。こだわらなければ、もっと先回りできて撮影地の選択肢も広がったのだが、今回は初回ということもあり地元で撮ってから追いかけることに決めていた。行楽日和の日曜日でもあり、中央道の下り線はこんでいた。

 なんとか初狩パーキングエリアにたどり着いて俯瞰撮影。さらに追い抜いて、甲府竜王間の回送も撮ってみた。初めての場所に時間ギリギリでたどり着いて撮ったのだが、印象的な夏空の下をゆく201系の姿をとらえることができた。

 折り返しの回送は夏の水田の風景を絡めて、まずは同じ竜王甲府間で。

 続いて初狩〜大月間。さらに復路の運転を――

 鳥沢付近で待ち構えていたら、とんでもない土砂降りの夕立が降ってきた。これはこれで、狙って撮れるわけでもなく、魅力的な201系の姿だった。ずぶ濡れになりながらも大きな収穫。

 その後は中央道の大渋滞を避けて国道20号線で帰ってきたのだが、それでも豊田に着いたころには日も暮れかけていた。H7もすでに車内清掃などを終えて眠っていた。
 舞台は役者のためにある。きょうは夏空も、夕立も、すべてが201系H7編成という役者にふさわしい仕立てだった。