新しい線路へ

 三鷹電車区わきでは、新しい線路へと繋ぎかえる工事が夜通し行われていた。

 通常は三鷹駅のホームに電車が夜間留置されることはないが……

 2編成のE233系が寝ていた。1番線にT18、4番線にT31。

 回送で新宿に上った201系H7編成は、再び回送で三鷹へと下ってくる。

 いよいよ空が白みはじめ、下り線から運転が再開された。上り線も、下り線ときれいに並んでまっすぐつながっている。

 そして夜明けとともに、新しい上り線の線路に電車が走る時が来た。先頭打者はE233系H58編成の「試運転」。新しい道を踏みしめるようにゆっくりと目の前に現れ、時間をかけて眼下を通過していく。工事関係者もかたずをのんで見守る。

 次にやってきたT13編成は「回送」表示だった。

 営業運転の1本目も、そろりそろりと武蔵境からの坂道を下ってきた。これで三鷹国分寺間の高架化工事が上下線ともひとまず完了。まだ多少の工事は残っているが、これで中央線の新しいページがまた開いた。随分遠い将来のことのような気がしていたのに、時が経つのはこんなにも早いものか。

 きょうは、高架化された駅のうち東小金井に行ってみることにした。試運転2本目の折り返しが中線に入ってくる。

 201系H7編成は、まず走りなれた下り線にやってくる。しかし当然、上り線側から撮るのは初めてで新鮮だ。

 高尾寄りに移動して、しばしの間201系ファンの方々と一緒に上り電車を撮影してみた。

 H7は高尾から折り返してくる。さっきの下り電車とはちがって順光だ。洗いたての青空の下にオレンジ色の車体が輝く。

 さらに待ち続けるとH4も登場。今回の高架化完了が201系にとって何を意味するのか、この場にいたファン一同には痛いほどわかっている。

 だが、この2編成は新しい線路を初日の朝に走ることを許された。さまざまな良からぬ憶測も飛び交っているけれど、ここに両編成が登場したというだけで、そうした憶測のいくつかはあっさり払拭されたのではないだろうか。