記憶の糸
201系H7編成は早朝からあっさり復帰し、79T運用に入っているという情報を得たので撮りに行った。
――と言ってご紹介するのは3年前の画像である。2007年11月のある朝、私はきょうと同じように三鷹駅で201系を撮っていた。79T運用の各駅停車青梅行き。ただしここに写っているのはH7編成ではなく、廃車を2ヶ月後に控えたH1編成だ。きょうは逆光がひどかったので、今回のH7の写真はいまいちな出来になってしまった(よって割愛)。
青梅に着いたH7は回送電車となり、奥多摩方面の単線の線路へと消えていく。
そして、しかるべき時間調整ののち青梅特快東京行きの表示で上ってきた。
9月も中旬に入ったが、蒸し暑さは相変わらずだ。多摩川では川面をいっぱい入れて涼しげな写真にしてみた。もう少し空が青ければ言うことはなかったのだが……またこの場所で撮る機会があるだろうか。あと、35日。
我が目を疑う
このところ台風やら何やらで中央線のダイヤも乱れがちだが、201系H7編成は毎日元気に走っている。
さよならキャンペーンのカード集めを兼ねて武蔵小金井で降りて1枚。右手に見える上り線の工事もずいぶん進んでいる。
小高い丘の上から、八王子〜豊田間の浅川を見下ろす。東京へと上っていくH7を撮って、駅への帰り道に電車区裏を通ると――
……!?
さっき東京行きで上っていったのはH7。ということは、ここにいるのはH4――と一瞬思いかけたが、そんなはずはない。H4は、もうこの世にいない。目の前にいるのは、20分ほど前に浅川を渡っていたH7である。どうやら、何らかの不具合で41T運用を途中降板し、ここに帰ってきていたようだ。どこが不調なのか知る由もないが、あす以降走るのかどうか、非常に気がかりだ。
中央特快
中央線のオレンジ色の電車。ブラックのマスクの下に燦然と輝く「中央特快」の表示がある。
「中央特快」のネーミングは魅力的だ。4つの漢字を "Chu-o-tok-kai" と4音節で読んでしまう語感が速達種別にふさわしい。たまに、そばで写真を撮っている子どもたちが「ちゅうとく」と略しているのを聞いたりするが、こう略してしまうと全然速そうではないから不思議だ。
E233系のLEDに出るブルーの種別表示も最初はインパクトがあったが、やっぱりこの巨大表示にはかなわない。
もう201系が中央線を去る日まで2ヶ月を切っている。だがきっと、どれだけ歳月を経ても、自分にとっての「中央特快」はこの電車なんだろうと思う。