「ただいま」

 心の準備をする時間は、十分にあった。でも、なんだか実感が湧かない。201系H4編成が、長野へと旅立った。

 豊田での最後の晩は仕事で行けなかったので、その前日の金曜に豊田を訪れた。雨の降る肌寒い夜、おもに電車区裏からH4の姿を撮っていたのだが、帰り際にふと思い立って電車区近くの階段から眺めてみると「クハ201−1」がH4と顔を並べている。その横にH7の側面と中間運転台も見える。粋な演出なのか、単なる偶然だったのか。
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 きょうは、朝からid:TZNEX氏を巻き添えにして、車でH4の長野への旅を追いかけた。

 豊田では、「東京」の幕を表示していた。最後に東京駅に行ったのは3月12日。せめてもう一度だけでもと願ったが、私のその思いが叶うことはなかった。

 藤野〜上野原間では、大月から東京へ戻るE233系に挨拶。「後は頼んだぞ」

 長野県に入ってすぐ撮った写真はいまいちな出来になってしまったので割愛。松本で乗車組の方々と合流し、聖高原付近で雄大な風景の中をゆくオレンジの雄姿を記録した。

 そして長野駅から、終着の地・長野総合車両センターへの道中。189系快速「妙高」がお出迎え。「ようこそ長野へ」

 すっかり長野総合車両センターの風景の一部になってしまったかのようなH4。「帰る場所をみつけたから……」ではないのだろうが、とにかくH4はここで最期を迎える。後ろ髪をひかれる思いで長野を後にして東京に戻ってきた。
 とうとう、残るはH7だけになってしまった。いつも通り走り続けていたH7の姿を、きょうは残念ながら見ていない。H7に、「ただいま」を早く伝えたい。